東京から北九州まで、フェリーで約34時間半。飛行機なら2時間、新幹線でも5時間の距離を、丸一日以上かけて海の上で過ごす。料金は片道2万円台から。この「贅沢な移動時間」の中身を、運賃・客室・持ち物まで全部まとめた。
東京→北九州フェリー2社の料金を徹底比較
東京(有明)発のオーシャン東九フェリーと、横須賀発の東京九州フェリー。北九州・新門司に着くフェリーは実質この2社だけだ。料金体系がかなり違うので、先に整理しておく。
オーシャン東九フェリーは片道20,460円から
オーシャン東九フェリーの公式運賃表によると、東京→北九州の2等洋室(相部屋)は大人1名20,460円(2026年4〜6月期)。
所要時間は公式の運航スケジュールで約34時間35分(月〜土曜日)。途中、徳島港に寄港する。
個室を使いたい場合は、この旅客運賃に加えて個室使用料が別途かかる。2名個室なら14,960円、4名個室なら20,020円(いずれも一室あたり)。つまり2名個室を1人で使うと、片道で合計35,420円になる計算だ。
東京九州フェリーは横須賀発で約21時間・14,000円〜
一方、東京九州フェリーは横須賀港から出る。所要約21時間15分で、オーシャン東九より13時間ほど短い。
Tourist A(最安の相部屋クラス)の基本運賃は閑散期14,000円〜繁忙期20,000円の3段階制。閑散期ならオーシャン東九より6,000円以上安いが、繁忙期はほぼ同額になる。
時間を取るか、料金を取るか。34時間の船旅そのものを楽しみたいならオーシャン東九、移動手段として効率を求めるなら東京九州という棲み分けだろう。
車を載せるならドライバー運賃は「別」に注意
マイカーごとフェリーに乗せる場合、オーシャン東九フェリーの乗用車航送運賃は5m未満で48,290円。ただし、これにドライバーの旅客運賃は含まれていない。車+ドライバー1名で合計約68,750円かかる。
東京九州フェリーは5m未満で42,000〜50,000円だが、こちらはドライバー1名分の運賃込み。この違いは大きいので、車旅を考えている人は要注意だ。
ちなみに、オーシャン東九フェリーの割引制度には往復割引(復路10%引き・2か月以内)や学割(20%・2等洋室のみ)がある。往復で使うなら、必ず往復割引を申し込んでおきたい。

客室タイプ別ガイド 相部屋から個室・ペット同伴まで
オーシャン東九フェリーの客室は、相部屋・2名個室・4名個室・Withペットルーム・バリアフリールームの5タイプ。全室オーシャンビューで、TV・冷蔵庫・コンセント完備。34時間の船旅だから、客室選びは快適さに直結する。
2名個室は約5畳のプライベート空間
公式の客室案内によれば、2名個室は全14室、広さは8.6㎡(約5畳)。完全な個室で、鍵もかかる。
TV(HDMI対応)・冷蔵庫・コンセント・タオル・歯ブラシ・ドライヤーが全部揃っている。ビジネスホテル並みの装備だ。
4名個室は12.8㎡(約8畳)で全14室。夫婦+子ども、あるいは仲間4人で使えばかなりゆったりだろう。個室使用料は20,020円を部屋で割るから、4人なら1人あたり5,005円の追加で済む。
相部屋は8〜16名定員・女性専用ルームあり
2等洋室は8〜16名定員の相部屋。カーテン付きのベッドが並ぶスタイルだ。
女性専用ルームが設けられているので、女性の一人旅でも安心感がある。個室使用料がかからない分、最もリーズナブルな選択肢だ。
ただし、34時間という長丁場で相部屋はなかなかの修行だ。いびきが気になる人、寝つきが悪い人は、正直、個室をおすすめしたい。差額14,960円は「快眠代」だと思えば安いかもしれない。
ペット同伴OKの「Withペットルーム」は全2室
Withペットルームは全2室で、広さ13.2㎡。ペットと同じ部屋で過ごせるフェリーはそう多くない。
使用料は22,990円(一室・東京↔北九州)。旅客運賃と合わせると1人43,450円だが、愛犬・愛猫と一緒に海を渡れるのは他に代えがたい。
別途ペットケージ12基(高さ55cm×横80cm×奥行55cm)もあるので、ケージで預けるだけでいいなら個室でなくても対応可能だ。
バリアフリールーム(約6.2㎡)は段差なし・ローハイトベッド2台で、専用浴室とトイレが隣接。多目的トイレにはオムツ交換台・オストメイトも完備している。

34時間を快適に過ごすための持ち物と船内活用術
レストランがない、電波が届かない時間帯がある、船上で買い物はほぼできない。この3つを知っているかどうかで、34時間の快適度がまるで変わる。事前準備がすべてだ。
食事は「持ち込み+自販機レトルト」が基本戦略
オーシャン東九フェリーの船内にレストランはない。
これが最大の注意点だ。食事は自動販売機のレトルト食品・冷凍食品(24時間利用可)か、自分で持ち込むかの二択になる。
オーシャンプラザに電子レンジと給湯器が完備されているから、カップ麺やレトルトカレー、冷凍のパスタあたりを乗船前にコンビニで調達しておくのが賢い。
・カップ麺、インスタントスープ(給湯器あり)
・おにぎり、パン、お菓子(初日の昼〜翌日の朝まで3食分)
・ペットボトルの飲み物(船内自販機もあるが割高)
・レトルトご飯+レトルトカレー(電子レンジで温められる)
大浴場は「海が見える風呂」で最高のリラックスタイム
船内の大浴場は洗い場7人分+シャワー室。窓の外に海が広がる設計になっている。
リンスインシャンプーとボディーソープは備え付け。タオルは客室に用意されている。つまり、手ぶらで風呂に行ける。
34時間の船旅で、風呂に入れるのと入れないのとでは快適さが天と地ほど違う。朝風呂で海を眺める時間は、この旅の隠れたハイライトだろう。コインランドリーも2台あるから、着替えが足りなくなっても洗濯できる。
HDMI持参でテレビが巨大モニターになる
全客室のTVがHDMI対応というのが、実は大きなポイントだ。
ノートPCやFire TV Stickを持ち込めば、Netflix・Amazon Primeの映画が大画面で観られる。
フェリーは沖合に出ると携帯電波が入らない時間帯がある。だからこそ、オフラインで観られる動画を事前にダウンロードしておくのが鉄則だ。
・HDMIケーブル or Fire TV Stick(TV大画面活用)
・オフライン動画・電子書籍(電波が切れる時間帯対策)
・モバイルバッテリー(コンセントはあるが念のため)
・耳栓・アイマスク(相部屋の場合は必須)
・食料3食分+おやつ(レストランなし)
・スリッパ or サンダル(船内移動用)
・酔い止め(念のため。大型船なので揺れは少ないが)




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