子どもや孫が夢中になっている「ボカロ」。気になるけど何から手をつければいいかわからない。そんな50代以上の方に、初音ミクの基本から名曲の楽しみ方までを一気に伝える。
そもそもボカロって何?50代にもわかる仕組みと歴史
ボカロとは、ヤマハが開発した「歌声合成技術」のこと。パソコンにメロディと歌詞を入力すると、人間の声をもとにした合成音声が歌ってくれる。その技術を一気にメジャーにしたのが、2007年に登場した初音ミクだ。
ヤマハが1997年から研究していた「歌う機械」
ボカロの正式名称は「VOCALOID(ボーカロイド)」。ヤマハのWeb音遊人によれば、この技術の研究が始まったのは1997年。初めて世に出たのが2003年。
だが、最初のVOCALOIDは正直、あまり売れなかった。音声が機械っぽくて、使いこなすのが難しかったのだ。
2007年、初音ミクが全部変えた
転機は2007年8月31日。北海道札幌市のクリプトン・フューチャー・メディアが「キャラクター・ボーカル・シリーズ第1弾」として初音ミクを発売した。
声の元になったのは声優の藤田咲さん。年齢16歳、身長158cmという「キャラクター設定」がついたことで、単なるソフトウェアが「歌うバーチャルアイドル」に化けた。
発売後わずか半年で出荷本数は約3万本。音楽制作ソフトとしては異例の大ヒットだった。
ニコニコ動画が「爆発の舞台」になった
初音ミクが広まった最大の理由は、ニコニコ動画の存在だ。
ヤマハの解説記事でも紹介されているように、個人のクリエイターが曲を作り、絵師がイラストを描き、動画師が映像をつける。こうした「みんなで作る」文化がニコニコ動画で爆発的に広がった。
テレビでもラジオでもなく、ネットの片隅から生まれた音楽ムーブメント。それがボカロの本質だ。

孫と一緒に聴ける!世代を超えた名曲5選と楽しみ方
「ボカロの曲は全部早口で聞き取れない」と思っている方、それは誤解だ。実はメロディがしっかりしていて、昭和歌謡が好きな耳にも響く名曲がたくさんある。
「千本桜」を知らないと孫との会話がツラい
ボカロ曲で最初に聴くべき1曲を挙げるなら、間違いなく「千本桜」(黒うさP、2011年公開)だ。
ニコニコ動画で1,000万再生を突破し、カラオケランキングではボカロ曲として史上初の総合3位を記録した(2012年度)。和風のメロディラインは演歌好きの耳にも意外としっくりくる。
カラオケに行けば必ず誰かが歌っているレベルの定番。孫に「千本桜知ってるよ」と言えるだけで、ちょっとした英雄になれる。
クラシック派なら冨田勲×初音ミクの交響曲がある
「シンセサイザーの巨匠」冨田勲をご存知だろうか。あの冨田勲が、初音ミクをプリマドンナとして起用した交響曲『イーハトーヴ交響曲』を発表している。
Billboard JAPANでも取り上げられたこのコラボは、クラシック音楽界にも衝撃を与えた。
「バーチャルな歌手がオーケストラと共演する」という発想。これはもう、技術とか若者文化とかではなく、純粋に音楽として面白い。
孫と聴くなら「プロジェクトセカイ」を入口にするのもアリ
今の10代・20代にとってボカロの入口は、ほぼ『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat. 初音ミク』というスマホゲームだ。
日経クロストレンドによれば、グローバル版はリリース約3ヶ月で100万ダウンロードを突破し、その後600万ダウンロードを超えた。
孫のスマホにほぼ確実に入っているこのゲーム。「それ何のゲーム?」と聞いてみるだけで、意外と会話が弾むかもしれない。

米津玄師もYOASOBIも元ボカロP?紅白常連アーティストとの意外なつながり
テレビの紅白歌合戦に出ているあのアーティストたちが、実はボカロ出身だと聞いたら驚くだろうか。ボカロは「サブカルの片隅」ではなく、今のJ-POPの主流を生み出した母体なのだ。
米津玄師は「ハチ」という名前でニコ動に曲を上げていた
「Lemon」や「KICK BACK」で知られる米津玄師。彼はもともと「ハチ」という名義でニコニコ動画にボカロ曲を投稿していたクリエイターだ。
日経クロストレンドの特集記事でも詳しく取り上げられているが、米津のようにボカロPから国民的アーティストへと飛躍した例は、今や珍しくない。
YOASOBI・ヨルシカ……紅白の常連がボカロ育ち
YOASOBIのコンポーザー・Ayase、ヨルシカのn-buna。どちらももともとボカロPとして活動していたアーティストだ。
「夜に駆ける」も「だから僕は音楽を辞めた」も、ルーツをたどればボカロ文化の延長線上にある。
つまり、あなたがテレビで「いい曲だな」と思っているあの曲、作っている人はボカロ出身という可能性が相当高い。
ボカロは「若者だけのもの」じゃない。マジカルミライに行ってみないか
初音ミクの大型イベント「マジカルミライ」は2013年から毎年開催され、公式サイトによれば2024年までの11年間で累計来場者数42万人を記録している。
会場に行くと、10代の孫世代から50代以上のファンまで、年齢層は驚くほど幅広い。
ボカロ関連の市場規模は2017年度時点で100億円規模(矢野経済研究所調査)。もはやニッチなサブカルではなく、れっきとした産業だ。
「よくわからないけど気になる」。その感覚があるなら、もう十分に入口に立っている。あとは1曲、聴いてみるだけだ。




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